髭達磨なるままに

思い出したかのように書きます

【定価10万の本】わが実証人生 大塚正士著 第一話「実証人生とは(その一)」

上下巻で合計約4,000ページとなる、昔の枕サイズの赤い塊の第一話は「実証」の定義から始まる。

 

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実証=実象=証拠

実際に起きていること、その範囲は人の感情や考えを含む。大塚製薬を日本の代表的な企業に成長させた大塚氏は実証を基に判断し行動することが、人生においても経営においても重要であると第一話では語られている。

Aさんを好きでBさんを嫌いなC子さんは、Aさんに触れられた時は喜んでその手を乳に持っていくが、Bさんに触れられたときは不快感をもって大拒絶する。

同じ行動、同じ道具を使っていてもC子さんの中には明確にその違いがある。「頭が良くて、顔が良くて、背が高くて、お金持ちで、いい匂い」のAさん「気持ち悪い」Bさん。この「」に囲まれた勘定や主観も、いやこれこそが実証だという。現代ビジネス界隈で使われている言葉で最も近いのは「ファクト」というものだろうが、それよりもより広義だ。

この、人の行動に明快な違いを生む原因となる「実証」を人の中に生めば、人生はうまくいくというのがこの話の結論だ。この文脈で氏は「男の約束は法律に優る」と話す。信用という名の「実証」要素の複合的な計算結果、これを築き上げていくことが人としての「年輪」を作ることになる。

大木たる男は漏れなく年輪が年齢とともに大きく広げている。自分の心の中に自己満足的にではなく、他人の心のなかに信用の輪を広げている。

 

全く自分の考え及ばないことだったし、欠けている積み重ねというのはここに繋がる気がしているから不安感があるのだと、これを読み分かったような気がする。